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英語教育の改革を積極的に行い、グローバル・リーダーを育成する独自の教育プログラムで注目を集める国際教養大学。
英語教育実践領域代表である内田浩樹先生の「考える」活動を含んだ授業実践は、ジャパンライムで幾度も映像化され、毎回反響を呼んでいます。
今回は、内田先生の教員人生からより良い授業を実践するための極意まで、じっくりとお聞きしました!
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私は大学を卒業して、すぐに高校の教員になったのですが、金八先生の世代なので、夢も希望もあって。
心を込めて指導すればどんな生徒も付いてくる…みたいな勘違いをしていたんです。英語も頑張って勉強していたので、
「そこら辺の先生には負けないぞ」というくらいの思い上がりもありました。
最初は夜間定時制高校の教員になったのですが、最初の授業は忘れられません。
定時制は4年間なので、4年目になると6人くらいしか残ってないんですよ。
入学時は40人近くいるのですが、4年も続かなくて6人から7人のクラスでした。
教室に入っていったら生徒は机の上に足を出していて、女の子は教科書じゃなくて化粧ボックスが机に置いてあって、
学校で一番の乱暴者に「見ない顔だな、挨拶しろや」と言われて、一応自己紹介して授業を始めようと黒板に書いていたら、
ナイフが顔の横に飛んできました。大慌てで職員室に駆け込んで、教頭先生に「ナイフ飛んできました!」と伝えたら、
教頭先生は顔も挙げずに事務仕事をしたまま、「生徒に背を向けたらダメだぞ」って言われたのが私の教員の始まりで、
スタートから教師への夢が完全に打ち砕かれました。
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そういう生徒を相手にするなら、まず座らせなくてはいけないし、授業中にどこか行くのは食い止めなくてはいけないし、
とにかく私に必要だったのは生徒をこっちに向かせる、興味をこっちに持ってくる方法でした。そこでずいぶん鍛えられました。
とにかく相手は勉強なんてこれっぽっちもしたくない訳です。その生徒に40分授業を聴かせるなんて、進学校の40分とは異質な苦労があって、
そこには4年間いましたが、教師としての考え方を叩き直されました。
『圧倒的な英語指導力で生徒を魅了する』なんて、馬鹿なことを思っていましたけど、そんなもんじゃないんだってことをその時に知って、
まず最初に『生徒が興味を持つにはどうしたらいいのか』というところからスタートしたんです。
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新任の先生は、大体自分の受けた授業や他の先生の授業を参考にして授業を作っていくんです。
それをやっていくうちにそれが自分のスタイルみたいになってしまう。だから長年、英語教育が行われていてもあまり変わってこないのは、
自分が経験した授業をベースにしたり、先輩のやっている授業をベースにしているからなんですね。
テストも先輩が去年作ったテストをベースに作るから変わらない訳です。
そして、それをやっているうちに自分のスタイルだと思い込んでしまうから、変わっていかない。そういう思い込みが結構あると思うんです。
例えば、関係代名詞や完了形はすごく難しいから時間をかけてじっくり一つ一つやっていかなきゃいけない、
発音記号も一年かけてみていかなきゃいけないという根拠もない思い込みというものがあって、それが蔓延しているところもあります。
でもそうじゃなくて、一度にできることもあるんじゃないか、一度にした方が生徒にとっては負担が少ないんじゃないかと思うんです。
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関係代名詞にしても発音記号にしても完了形にしても、長編小説なんですよ。
中身が多いので。長編小説はまず第一章を読み込んでディスカッションして、第二章を読み込んでディスカッションして…とやっていくと、
一章節ずつで段々脱落者が増えてくるんですよね。興味も失ってくるので、あらすじを最初に理解させることがすごく大事じゃないかと思っていて。
発音記号も一回でみんな読めるようにはなるのですが、短期記憶なので数日放っておけばまた忘れてしまいます。
でも発音記号に対するアレルギーはなくなるわけです、「読めた」「読めるはずだ」と。完了形にしても関係代名詞にしても、
一度わかったんだからわかるはずだと先に思わせる手法が必要かなと。それを中心に授業を行っています。
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良い授業実践を行うためには、良い授業にできるだけ多く触れることが大切なのは、言うまでもありません。
しかし、実際に良い授業実践をしている先生の授業を見る機会は大変少ないですし、お近くにそういう先生がいつもいるわけではありません。
そういう意味では、DVDで良い授業実践に触れるというのは、授業研修や教員養成の過程において非常に重要な役割を果たすことになります。
私も色々な研修会を担当させていただいておりますが、色々な先生から「こういう風に授業をしているのですが、これで良いでしょうか?」
「こういう授業のやり方は正しいですか?」といったご質問を多く受けます。そのたびに、ティーチャートレーニングの難しさを痛感するのです。
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多くの先生方は、「こういう授業をするにはどうしたら良いのか」という手順を覚えようとなさっていますが、
実際に良い授業や良い活動は、活動やそのやり方に良い、悪いが存在しているわけではなく、その先生が「どういう目的でその活動をするのか」、
「目的を達成するために、どういうものを用意し、達成できるような手順になっているか」がカギなんですね。
例えば、発音を重視したい、発音記号をしっかりと定着させたい場合は、最初に発音記号を書いたカードを見せて、
生徒に読ませた後、スペルの書かれたカードを見せることが重要です。この手順が逆になると、スペルのカードを見せながら発音を復唱させた後、
発音記号を見ることになり、先に耳で聞いているため、発音記号には一切目がいかなくなります。
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このように、一つ手順を間違えただけで、目的・目標がズレてしまいます。
こういう視点が、良い授業実践をするためには必要不可欠です。教員養成や現職の先生方には、
「授業の目的」と、それを「達成しうる手順になっているか」を考える力を育てていただけたらと思います。
そのためには、まず「この授業の何が生徒の力を伸ばしているのか」に気付く目を養うことが大切なのではないでしょうか。
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