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熱戦を繰り広げた夏の甲子園、100回記念大会が幕を閉じました。
今年も高校球児たちの熱い夏をさらに盛り上げた「野球応援」。
なかでも吹奏楽部による応援は、選手たちの士気を高め、試合を勢いづけるものとして今や欠かせないものとなっています。
そんな吹奏楽部による野球応援を甲子園で初めて取り入れたと言われている日本大学第三高等学校。
長い伝統がある日大三高の「野球応援」について、『高校野球を100倍楽しむブラバン甲子園大研究』等の著者である、
高校野球ブラバン応援研究家の梅津有希子氏が語ってくれました!
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日大三高の野球部といえば甲子園出場が春20回、夏17回、優勝3回(春夏合わせて)という甲子園の常連校です。
今夏も準決勝まで勝ち進み、熱い戦いを見せてくれました。
そんな学校では花形とも言える野球部員たちが試合会場に向かう際、吹奏楽部の楽器運搬を手伝っていることはご存知でしょうか?
それだけではなく、吹奏楽部の定期演奏会のステージセッティングや、案内係までもつとめています。
これは名門校に限らず、全国でも大変珍しいことです。
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【梅津氏】
私はたくさんの高校の野球応援を見てきていますが、
日大三高の「野球部」と「吹奏楽部」の関係性というのは日本一じゃないかと思うぐらい、理想的な関係性が築かれていると思います。
野球部が吹奏楽部の定期演奏会を聴きに行くという学校は沢山ありますけど、日大三高の野球部が裏方となって、
ステージ上の譜面台を並べたり、駅からの会場案内をしているのを見てびっくりしました。
坊主頭で体が大きかったので「あ、野球部の生徒さんだなぁ」とすぐわかりました。
日大三高吹奏楽部顧問・細谷先生にお聞きしたところ、これは60年以上前から続いている伝統とのこと。
吹奏楽部や野球部の生徒たちも新入部員当初はお互いに戸惑いの気持ちがあるようですが、上級生の指示を受け、
両部員たちが打ち合わせしながらステージを作ったりしているそうです。
野球部の生徒さんは「日頃の応援に感謝の気持ちを込めて手伝ってます。もうこれは当たり前だと思っています。
お互いに応援する側でもあるし、応援される側でもあるので、お互い良い関係が出来てるのかなぁと思います。」
と話してくれました。素晴らしい文化ですよね。
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昔の野球応援は、硬派な応援団が中心になって第一応援歌・第二応援歌…という、
全体の応援歌の形式が主流でしたが、今は全体の応援歌で盛り上げ、なおかつ個人の応援歌があるスタイルで、
何十曲も練習しなくてはなりません。しかも、真夏の炎天下での演奏は過酷ですし、
コンクールの地区大会と重なることもあり、吹奏楽部は本当に大変だと思います。
でも、応援に行くこと自体を楽しみにしている生徒も多いようで、
その大変さを超えてもお互いに得られるパワーは大きいようです。
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【梅津氏】
日大三高の応援曲には数々の名曲があるのですが、中でもチャンスの時に演奏する「ComeOn!!」というオリジナル曲があります。
この曲がかかると点が入る、この曲に後押しされて勢いづいて勝った、というのがこれまで何度もあるんです。
まさに、日大三高のチャンステーマで、吹奏楽部員もそれを代々受け継いで知っているから大事に演奏しています。
(※NHK交響楽団奏者でもある日大三高OBが作曲した「ComeOn!!」は日大三高オリジナル曲だが、
テンポのいい名曲なので他校でも使わせてほしいという学校が多い。
但し、いわゆる耳コピでの演奏なのでやはり日大三高と全く同じ構成で演奏するのは難しい)
それから、大会前に吹奏楽部と野球部の生徒が打ち合わせをして個々の応援曲を決めるそうなんですが、
バッターボックスに立った時に自分の好きな曲がテーマソングとして流れたら、それは気合いが入りますよね。
また、憧れの先輩が使っていた応援曲を自分の打席で受け継ぐことで、さらなる力を発揮する選手もいます。
神宮球場は席が近いので音は聴こえるんですよ。また、甲子園だったら客席が段々になっているので結構響きます。
その響き方の違いにも感動したという野球部員の話も聞きました。…結構聞いてる余裕があるんですね(笑)でも、
それも吹奏楽部がちゃんと音を遠くに響かせてるというだけでなく、お互いが近い関係だから、そこまで気づけるというのもあるのかもしれませんよね。
また、「曲によって気持ちの切り替えができた」「気合が入る」と野球部の子に言われて、
吹奏楽部の子も「演奏しがいがあって嬉しい」「頑張って演奏しようという気持ちになる」と言っていました。
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【梅津氏】
野球部は音楽の力による後押しをもらって心強い部分があるだろうし、吹奏楽部は、野球部が一生懸命戦う姿を見て、
勉強になったりモチベーションが上がったり・・・。そこにはお互いのリスペクトがあるんですよね。
強豪校の野球部というのは、やはり一般生徒とは少し違う存在になりがちですが、野球部にしても吹奏楽部にしても、
それ以外の子たちにしても、皆それぞれの持ち場で一生懸命やっています。
そんな、一生懸命にやっている良い関係を分かち合うというか、そういう場面を大人がもっと作ってあげたら良いと思いますね。
お互いの頑張る姿を刺激にして、それが相乗効果を生み、それぞれ力をもらって更に頑張れる・・・まさに理想的な「応援」の姿です。
スクールバンドにおける野球応援の理想形とも言える日大三高に、「応援」の素晴らしさを再認識させられました。
頑張る姿を分かち合う、そんな学校がもっと増えればいいなと思います。
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