JLCオンデマンド
お勧め動画

JLC On Demand | 荒木秀明コース
JLC On Demand | 蒲田和良

注目DVD商品PickUp

『臨床から学び、臨床に返すということ』

副島整形外科病院
岩坂 知治

【症例1】
 人工骨頭挿入術後8 日目,術創部より滲出液多量.病衣まで浸潤していた.前日まで上記
のような症状はなかった.当日,ROMex・歩行ex を愛護的方法へ変更したが,翌日も同様
に滲出液が病衣まで浸潤していた.
【症例2】
 UKA 術後7 日目,腫脹・熱感(+),夜間時・歩行痛(+).炎症症状や歩行の安定性を考
慮し,病棟内移動はピックアップ歩行器としていた.未だ術後疼痛が持続しているにも関わ
らず,稀に足を引きずりながら自室内を独歩で動いているとNs から報告を受けた.術後の時
期や,炎症症状を説明し,再度ピックアップ利用を促したが,独歩を繰り返していた.しかし,
ピックアップ歩行器からウォーカー歩行器へと変更すると,病棟内で積極的に利用するよう
になり,独歩で動くことはなくなった.
【症例3】
 中学生男子.野球の練習中,ボールを追って飛び込んだ際に左肩を脱臼,それから繰り返
し肩を脱臼するようになる.当院で鏡視下肩関節唇形成術を施行する.術後1 日目から,左
上肢全体にしびれ・感覚鈍麻が出現,僅かに手指の伸展運動が可能な程度であった.1w 後,
手指運動は可能となり,しびれ感は軽減傾向にあったが,肘の屈曲・前腕の回外運動は不可
能.腕神経叢麻痺の診断を受けた.術後約6 ヶ月経過し,左上肢の感覚鈍麻・しびれ感は消失,
肘の屈曲・前腕の回外もMMT4 レベル,キャッチボールを開始した.
【症例4】
 TKA 術後1 年,急な疼痛増強あり,歩行困難となる.安静目的にて当院入院.痛みに応じ
てピックアップ歩行ex を行なっていた.膝痛はなかなか軽減せず,稀に股関節周囲まで疼痛
を訴えることもあった.また,痛みのため,下肢を挙上することも不可能であった.
 上記は臨床で経験した例の一部である.これらすべての症例は予想し得ない背景と経過が
あった.果たして,本当に予想し得ない事象だったのだろうか?
振り返れば,臨床に多くのヒントがあったように思える.患者が示していたものもあれば,周
りの環境,自分自身の行動にも隠されていた.それは複雑なものもあれば,単純な部分にも
存在していた.
 私自身,「学び」は臨床ではなく,その外側,文献や研修などから得るものだと捉えていた.
もちろん,外で学ぶことも重要ではあるが,臨床そのもの,つまり今,目の前で起きていること,
経験していることすべてが,学びに溢れていると考えている.
 臨床から学び,その後どのように変化したのか,どのような形で臨床に「返す」のか, 上記
症例から得た「学び」に加え,その背景と詳細を含め述べさせて頂きます。 

関連動画※動画を見るには
「足と歩きの研究」 1巻 第1回 足の機能解剖 Ⅰ ~足部の臨床的分類と関節運動~ 【1/1】
「皮膚運動学」 1巻 第1回 皮膚の運動特性 【1/1】
「肩関節障害に対する理学療法」 1巻 第1回 肩関節の基礎 その1 ~肩の構造と機能~ 【1/1】