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どうしてこんな症状が!?
~ 心理精神的問題が加味された症例に対する私なりの向き合い方 ~

ぶちええセラピー/大石整形外科リウマチクリニック
佐々木綱

 【はじめに】
 私は、豊富な知識や突出した技術を持っているわけではなく、独特の感性を持っているわ
けでもない。
 私の持っている「絶対負けねぇ」もの。
 それは、患者さんと真っすぐに向き合い、ココロの変化を人より少しでも感じ取ろうと敏
感になれること。
 臨床場面では、明らかな身体的異常所見が認められないにも関わらず様々な症状を訴える
症例を経験することがしばしばある。そこで、主に外来運動器リハに焦点を当て、約200 名
に行ったアンケート調査を行ってみると、約75% のセラピストに心理精神的問題が加味され
る症例の経験があることが分かった。それだけ多くのセラピストが経験されている心理精神
的問題が加味される症例に対する私なりの向き合い方について、実際の症例を交えて発表さ
せていただく。
【症例紹介】
40 歳代後半・男性・会社員(デスクワーク:休職中)、診断名:多発性単ニューロパチー(う
つ病)
主訴:足首の周りがしびれて、歩くと転びそうになる、既往歴:頚部痛・腰痛(休職後、症状緩和)
【評価・経過】
初期評価:主な下肢筋についてMMT4- 〜4+/5 レベル、著明な低下が認められたのは腓腹・
ヒラメ筋2+(臥位)/5、長・短腓骨筋3+/5、足趾屈筋群3+/5 など、右腓腹筋の筋緊張低下、
右片脚立位困難
中間評価(2M):MMT 長・短腓骨筋4-/5、右腓腹筋の筋緊張やや改善、歩行に変化、表情の
変化
患者さんの主観的変化:靴を履くのが楽になった。しびれが減った。1.5H くらい歩ける。
このまま、少しずつ末梢神経が回復してくれればと医師とも話していた。しかし、ある時・・・
患者さん:「・・・療法を受けたらしびれがほとんど無くなりました!」
私:「え!?それはどんな治療なのですか!?」
本症例では、心理精神的問題は加味されていないと考えていたが、評価が不十分で見落とし
があったのか。
科学的根拠が十分に認められるとは言い難いであろう、ある民間療法によって症状の改善が
みられたことを、どう考えたらよいのだろうか。今後、どのようにアプローチしていけばよ
いのだろうか。
【私の目指すセラピスト像】
 精神医学の中には、身体疾患を抱えた患者の心理的ケアを、精神科医と身体科スタッフと
が協力しながら行うリエゾン精神医学というものがある。本邦では、整形外科やリハとリエ
ゾン治療を実践している大学病院等はあるが、クリニック等の身近な施設では実施されてい
ないと思われる。私は理学療法士であることから、アプローチは「カラダからココロへ」と
心がけていたが、今後は、資格に囚われず、症状に応じてリエゾン精神医学や心理学を取り
入れた「ココロからカラダへ」アプローチできるセラピストになり、身体的異常所見の認め
られない、心理精神的問題が加味される患者さんへの新たなアプローチを構築できればと考
えている。
【おわりに】
 本症例に対してや心理精神的問題が加味される症例に対する考え方等、また、私の目指す
セラピスト像において問題になると考えられる、職域や診療報酬の問題についてもご助言い
ただけると幸いである。

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