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頑張らない歩行のためのアプローチ

南東北春日リハビリテーション病院
坂本英樹

【はじめに】
 今回の症例は右被殻出血により左片麻痺を呈した方である。以前、当院に入院されており
現在は外来でリハビリを継続している。歩行は独歩で屋外自立レベルであるが、振り出し時
に麻痺側の緊張が高く、頑張って歩く歩行となっていた。L.L.B や感覚入力を用いながら、頑
張らない歩行獲得を目指してアプローチしたのでここに報告する。
【症例紹介】
・年齢・性別:20歳・女性
・診断名:右被殻出血
・現病歴:H22.3.6 に発症。H22. 7. より外来リハビリ開始。
 H24.11 〜H25.3 まで外来リハビリを週3回。現在は週1回。


【評価】(H24.11)

Br-Stage上肢 Ⅲ手指 Ⅱ下肢 Ⅲ
ADL独歩(装具-)で入浴・更衣以外自立
10m歩行時間 15秒82  歩数 27歩 ※10m歩行は最大歩行速度で測定。
歩行観察Mst ⇒麻痺側側方への動揺(体幹の左側屈)
Tst ⇒股関節伸展の減少
Isw ~ Psw ⇒振り出し時に努力性が強まり動きが停滞 ※もっともバランスを崩す
Msw ~ Tsw ⇒体幹屈曲・側屈、麻痺側上肢の緊張↑
        【治療】
・過剰な固定部位の開放
・L.L.B によるC.P.G 賦活化
・足底からの感覚入力


【再評価】(H25.3)
10m歩行8秒82  歩数 20歩
歩行観察Mst ⇒体幹の左側屈減少、麻痺側側方への動揺減少
Tst ⇒股関節伸展の出現、腸腰筋の遠心性収縮での振り出しが可能
Isw ~ Psw ⇒動きの停滞が改善され、前方への移動がスムーズに
Msw ~ Tsw ⇒体幹屈曲・側屈が改善 麻痺側上肢の緊張やや↓


【考察】
 今回は麻痺側振り出し時にみられる努力性を軽減させ、C.P.G など本来の反射的要素を主とした歩行獲得
を目標とした。L.L.B 歩行・感覚入力を行う事で①床反力を取り入れて腹内側系の賦活化② C.P.G の賦活化
③ Tst での股関節伸展の促しを目的に介入した。
 介入当初に比べて麻痺側振り出し時にみられた努力性は改善がみられた。歩行速度・歩数にも変化があり、
今回の介入ではある程度の効果があったと考える。

関連動画※動画を見るには
「足と歩きの研究」 1巻 第1回 足の機能解剖 Ⅰ ~足部の臨床的分類と関節運動~ 【1/1】
「足と歩きの研究」 2巻 第2回 足の機能解剖 Ⅱ ~矢状面における距骨の前後移動~【1/1】
「足と歩きの研究」 3巻 第3回 足の機能解剖 Ⅲ ~前額面における距骨の内外側傾斜と水平面における距骨の回旋運動~ 【1/1】