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自分が考える“ 触れる” ということ

公益財団法人星総合病院
リハビリテーション科
安齋勇気

普段、臨床に臨む中で「患者さんに触れる」ということを意識するようになった。人に触 れるということはその手を介して情報が行き交うことであり、自分と対象の人がそこに存在 しなければ成立せず、またお互いの許しがなければ出来ないことであり、“ 当たり前のことで はあるがとても奥が深いことである” と感じるようになった。
それから「触れる」というこ とを深く知ろうと考え、様々な著書を読んで学び自分なりに解釈して日々取り組んでいる。  触れることの起源を辿れば、人間になるまでの進化過程が重要となる。群れをつくり仲間 との接触で信頼関係を築いたり、毛づくろいをして社会的関係を持ったり、さらに高等な知 能を持つ動物になると挨拶やコミュニケーションをとる手段として接触を用いる。これらの 接触活動は人間に進化した今でもその名残として存在している。
では、この触れるということで何を得ることができるかというと「不安や緊張、痛みを和ら げる」「信頼感を高める」「覚醒とリラックス効果を高める」ことが主な効果であるとされて いる。

 以上のことを自分に当てはめた時に「患者さんとの信頼関係を高めることやコミュニケー ションをとる上で大変重要なことであり、患者さんを癒すことができる1つの手段である」と いう考えになった。そして心地よい触れ方で良い信頼関係を築くことができ、治療の効果を 高めることが出来る方法を考えている。
現在のところ自分なりに心地よい触れ方を試行錯誤した結果、手の柔らかさ+身体の安定性 ではないかと考えている。手の柔らかさは手のストレッチを行い、身体の安定は坐禅を組ん でいる。このようなことを実践し始めて患者さんから手を褒めていただく機会が増えてきて いる。

 手や身体を整えることで心地よさ、信頼関係を築き、患者さんと向き合ってその関係性を 大切にすること。その上で日々の研鑽に努め、今、自分にあるもの・出来ることを最大限提 供することが重要ではないかと考えている。今後この2つをバランスよく膨らませていきた い。唯一無二の触れ方を身に着けるとともに“ 自分の臨床” を展開していければと考えている。

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